トマトの優れた薬効は古くから知られており、「トマトが赤くなると医者が青くなる」といった言葉によく現れています。地中海地方ではトマトをたくさん食べていますが、この地域は北ヨーロッパやアメリカの人と比べて心筋梗塞や脳梗塞などの血管系の病気が少ないことが知られています。その要因の1つにトマトの薬効成分があると考えられています。完熟トマトには、カロテンやビタミン、カリウムが豊富に含まれていますが、特筆すべきはトマトの赤色色素であるリコピンです。
リコピンには強い抗酸化作用があり、ベータカロテンの2倍にもなります。この強い抗酸化作用により老化やガンの原因とされる活性酸素を抑える働きをします。活性酸素は人間が呼吸によって体内にとり込んだ酸素のうち、ストレスやタバコ、酒、紫外線などによって約2%が変化して発生します。
通常増えすぎた活性酸素は体内の酵素反応によって除かれますが、その過程で消去されずに残った活性酸素は体の遺伝子を傷つけたり、コレステロールを酸化させて過酸化脂質に変えたりします。その結果、遺伝子が変異したり過酸化脂質が血管にこびりつき、ガンや動脈硬化を引き起こすのです。リコピンはその強い抗酸化作用により活性酸素を除くことでコレステロールの酸化を防ぎ、血液をサラサラにして血管の詰まりを防ぐのです。この効果は同じく抗酸化作用のあるビタミンEを併せて摂取する事で高める事ができます。
またリコピンは大腸や肺、乳、膀胱、肝臓などのガン予防にも効果があることがわかっており、そのうえ脳内の活性酸素を除去する働きもあることから、脳の老化やボケ予防も期待されています。このほかトマトに含まれるカリウムは、体内の余分なナトリウムを排泄し血圧を下げる効果があります。また体内の水分量を調節し、むくみの解消にも効果を発揮します。
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