食事から摂らなければならない必須脂肪酸
植物由来の油には、多価不飽和脂肪酸のリノール酸とα-リノレン酸が多く含まれています。リノール酸やα-リノレン酸は体内で合成する事ができず食品から摂取しなければならないため、「必須脂肪酸」と呼ばれています。必須脂肪酸が不足すると、ホルモン異常などを招くといわれています。リノール酸は体の中でγ-リノレン酸からアラキドン酸に変換され、α-リノレン酸はEPAやDHAに変換されます。
リノール酸は、1950年代にアメリカでコレステロール値を下げる働きがあると発表された事で注目を集め、日本でもその効果を期待して需要が伸びました。しかしその後の研究でリノール酸は悪玉コレステロールだけでなく善玉コレステロールも減らしてしまうという欠点がわかりました。善玉コレステロールが減る事で、結果として悪玉コレステロールが増えてしまうのです。
またリノール酸は、摂りすぎるとアラキドン酸に変換されて血液を凝固させたり、炎症を起こしたりする事もわかっています。リノール酸は体内に欠かせない物質ですが、過剰摂取には注意が必要です。
α-リノレン酸は体内でDHAやEPAに変化する事で、コレステロールや中性脂肪を減らしたり、血液の凝集を防いで血栓を予防する働きがあります。ただしα-リノレン酸もリノール酸同様、悪玉コレステロールだけでなく善玉コレステロールも減らしてしまう欠点があります。
またリノール酸やα-リノレン酸などの多価不飽和脂肪酸は酸化しやすいという性質があるため、体の中でコレステロールを酸化させて、結果的に動脈硬化を進めてしまう事にもなります。一方で、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸は酸化しにくく、しかも善玉コレステロールを減らさずに悪玉コレステロールを減らすという特徴があります。
リノール酸やα-リノレン酸は体に必要な物質ですが、普段の食事から十分に摂る事ができるので、コレステロールを減らすために油を選ぶ場合はオレイン酸を多く含む油を選んでみるとよいでしょう。
|
|